◆◆ビジネスに欠かせないツール「名刺」の歴史を探る◆◆
初対面のビジネスシーンで行われる「名刺交換」。ご挨拶や自己紹介に欠か
せないツールが「名刺」です。実は、日本は世界でもっとも名刺を用いる国だ
といわれているのをご存じでしたか?
名刺は世界中で使われています。その歴史は、各国の独自な文化で発展して
きたようですが、その起源は中国だといわれ、7~10世紀(唐の時代)の書物
にも登場します。「名刺」という言葉は中国の古語にあたります。
当時は、訪問先が不在時に木や竹の札に自分の名前を書いて戸口に刺し、訪
問したことを知らせていました。置き手紙といっていいかもしれません。その
木や竹の札を「刺」と呼んでいたことから、「名刺」という呼称となったそう
です。他にも、官僚社会では地位のある人物に面会する際、取り次ぎや何かの
正式な席に欠席しなければならない場合の挨拶代わりとして使用されていたよ
うです。
日本で名刺が使われ始めたのは江戸時代からといわれています。近代に近い
形で使うようになったのは、幕末開国の頃。自分の名前の上に紋所を入れ、役
人が外国人と接するために使われるようになりました。明治以降は盛んに使わ
れるようになり、鹿鳴館時代の社交界では欠かせないツールとなっていたよう
です。
社交の場で使われていた「名刺」が時代とともに様変わりし、ビジネスシー
ンでも使われるようになったのは20世紀半ば頃からです。現在、日本の標準サ
イズ
55mm×91mmは、いわゆる黄金比となっています。
また、アメリカ・ヨーロッパなどの欧米諸国は、日本の標準的なサイズとは
異なり、一回り小さい51mm×89mmです。日本でも、外資系企業などではこのサ
イズを用いるケースが多いようです。