◆◆外れ馬券は必要経費になる?◆◆
競馬の所得を申告せず、3年で約5億7,000万円を脱税したとして、所得税法
違反の罪に問われた元会社員の男性(39)の判決が5月23日に大阪地裁であっ
た。
この裁判では、外れ馬券が経費と認められるかどうかが注目を集めていた。
判決では、男性は多数、多額の馬券を機械的、網羅的に購入していることから、
馬券の払戻金を「一時所得」ではなく「雑所得」に該当すると判断。外れ馬券
を含む全ての馬券購入費を経費として認め、脱税額は約5,000万円に大幅減額
された(懲役2カ月、執行猶予2年の有罪)。
馬券の払戻金は、臨時、偶発的な収入として「一時所得」に規定されており、
収入を得るために直接かかった費用だけが経費として認められるため、当たり
馬券の購入費のみが経費となるが、男性の特殊な購入方法などから、FX(外国
為替証拠金取引)などと同じ「雑所得」と判断された。
この男性は、市販の競馬予想ソフトを改良し、過去の戦績などから勝つ確率
の高い馬を選ぶ独自のシステムを構築。100万円を元手に専用口座を開き、イ
ンターネットで土日の中央競馬ほぼ全レースの馬券を機械的に購入しており、
その配当金は自転車操業的に次の購入資金に充てていた。
それにより、2007~2009年の3年間で約28億7,000万円分の馬券を購入し、約
30億1,000万円の払戻金を得ており、約1億4,000万円の黒字となっていた。
検察側は競馬の所得は一時所得であり、払戻金である約30億1,000万円から
当たり馬券の購入費約1億3,000万円だけを経費として差し引いた約28億8,000
万円が男性の3年間の所得であると主張し、課税額を算定していた。
なお、判決でも馬券の払戻金は一般的に「一時所得」に該当するとしており、
この男性のように「雑所得」と判断され、外れ馬券が経費になるのは例外なケ
ースといえるであろう。