お役立ち情報  INFORMATION

◆◆非婚ひとり親への寡婦控除「みなし適用」◆◆

結婚をしていないひとり親家庭が近年、増加傾向にある中、「寡婦(夫)控
除」が問題となっている。

寡婦控除は、夫と死別もしくは離婚した後婚姻をしていない者、または夫の
生死の明らかでない場合に、所得から27万円(特定の寡婦に該当する場合は35
万円)の控除が受けられるが、「婚姻していた」ことが前提条件となるため、
非婚者は適用できない。

そのため、同じ年収のひとり親でも非婚の場合は寡婦控除がない分、所得が
高くなり所得税や住民税の負担が大きくなる。また、所得を基準に算定する保
育料や公営住宅の賃料などにも影響する。

また、2011年の国民生活基礎調査によると、母子世帯の平均年収では、死別
256万円、離婚176万円に対し、非婚は160万円であり、母子世帯の中でも厳し
い状況にある。

一部の自治体では、保育料について、非婚ひとり親に寡婦控除が適用されて
いるとみなして取扱う「みなし適用」により減免されるが、実施しているのは
札幌市や千葉市、岡山市、那覇市など一握りである。

こうしたことから、日弁連は今年1月、非婚の母は寡婦控除が適用されない
ことで著しい不利益を受けており、婚姻歴の有無によって、非婚の母やその子
が不利益を被ることは憲法14条や子どもの権利条約に違反するとして、「非婚
の母子家庭に寡婦控除のみなし適用を要望する」要望書を国や東京都などに提
出。

八王子市(東京)は、この要望に応える形で保育料や市営住宅の家賃につい
て、寡婦(夫)控除のみなし適用を実施することを決定。東京都内では初めて
の取組みとなる。

なお、八王子市が挙げた実例では、年間給与201万円余で2歳の子どもを育て
ている非婚のシングルマザーの場合、所得税・住民税、保育料、市営住宅家賃
の合算額は45万6,200円なのに対し、婚姻歴があれば24万7,200円に抑えられる
ため、差額は20万9,000円にもなる。