師匠 鈴木丈織のベネフィットドクター⑮

経営参謀に欠かせないマインド・スキル・センスの構築
お客様を納得させる営業センス(3)

「話題の武器」を持って強みにする

 お客様に「うるさいな」と思わせない方法を考えてみましょう。商品に気付いてもらえば、さらに興味を持ち、実際に商品を使用したときをイメージしてもらうように、どんどんアピールしなければなりません。そんなとき営業パーソンがしゃべりすぎると逆効果になる場合があります。お客様はどのような心理なのでしょうか。

 人間の心理は、どうしても好き嫌いが優先します。感情に左右されるのです。いわゆる第一印象で「嫌いなタイプ」と判断されれば、その後、その営業パーソンが何を言おうが、何をしようが、お客様はその話を「うるさい」と感じてしまうし、同じ時間を共有することそのものを「もったいない」と感じてしまいます。

 ごく普通に接していても、なぜか嫌われてしまうこともあります。「太った人はイヤ、声が大き過ぎて喧しい…こんな営業パーソンは好きなタイプじゃない」など。そう言われても、どうしようもありません。お客様の心を操作することはできません。しかし、お客様にとってあまりタイプじゃなくても「こういうことをする人は好き」「こういう話なら聞きたい」というものがあるはずです。ポイントは、とにかくお客様の好きなテーマを探し、話題として出してみること。最初の話題づくりでは仕事と直接関係がなくても構いません。営業パーソン自身に興味を持って振り向いてくれるように、最近話題になっている話や事件を取り上げながら探っていきます。

 特にスポーツ関連の話題は重宝するでしょう。「ゴルファーの石川遼君は高校生ながら、がんばってますね!」とか「イチローはホントにすごいですね!」でもいい。このような話にお客様が乗ってくれば、あとは「へぇ、そうなんですか」「お詳しいですね」「それはすごいですね」と持ち上げつつ、聞き役に徹すればよいのです。

 さらに、何らかの「話題の武器」を持てば、強力にお客様を惹きつけることができます。私の場合、それが心理学です。

 「マラソンってご覧になりますか。実は私、◯◯社のマラソン部をメンタルな部分で指導したことがあるんですよ」

 こういう話をすると、お客様はたいてい驚いて興味を持ってくれます。

「ビジネスもマラソンも、モチベーションがカギになるという点では同じなんです」
「そういえば、肩書に“ドクター”ってあるけど、お医者さんなの?」
「精神科医です。ただし日本の医者ではなく、アメリカの。その知識や技術をセールスに応用しているんです」
「へぇ、そうなの」

 ここまで話ができれば、明らかにお客様の見る目が違ってきます。「ただの汗かきのオヤジ」から、「おもしろいヤツ」に変わるのです。

 「話題の武器」は、もちろん学位である必要はありません。「地域のサッカークラブに所属している」や「もっぱら釣り」でも、「ギターはプロ級」でもいい。趣味のレベルでも、話が合って親しみがわくということがよくあるのです。

 お客様の身の回り、周囲の状況を目ざとく観察し、趣味のよいインテリアを褒めたり、無造作に置いてある本のタイトルから推測して話題を投げかけ、お客様が主役になれる話題をみつけていくことです。そして、お客様に得意な話をしてもらえば、楽しい気分になってくるでしょう。それだけでも「もったいない」「ムダな時間」とは感じなくなるのです。むしろ、「話の合ういいヤツ」という印象で話が続きます。お客様の購買心理も自然と第2、第3段階へと進んでいきます。