師匠 鈴木丈織のベネフィットドクター⑭

経営参謀に欠かせないマインド・スキル・センスの構築
お客様を納得させる営業センス(2)

1.購買心理に沿う工夫

 営業パーソンは今お客様がどの段階かよく見極めなければなりません。また、自然にその心理変化を促すようにお客様に働きかける工夫をすることによって目標達成を目指すことができます。第1段階から第7段階におけるお客様心理とセールスのアピールポイントを見ていきましょう。

2.お客様の時間感覚を短くする

 第1段階は、営業パーソンがお客様に商品を勧めようとし、お客様がそれに気づいたところから始まります。お客様のほうから興味を持って注目してくれれば苦労はありませんが、たいていは、営業パーソンがアピールするのです。まだ、まったく気づいてくれていないお客様には、何をアピールすれば効果的なのでしょうか。

 ここで重要なのは商品より営業パーソン自身。外見の印象や態度が、お客様にとっての商品価値になります。営業パーソン自身が商品と結びついて評価されるのです。

 そこで、「時間がもったいない」「君と話してムダな時間は過ごしたくない」と思われてはマイナスです。お客様に「この時間がムダになる前に先手で断っておこう」という心理を持たせないようにすることです。しかし、一瞬でもお客様が「ムダかどうか、判断してから断ろう」という時間差さえあれば、そこでアピールするチャンスはあります。

 本来、「時間の長さそのもの」と「時間のムダ感覚」とは別物です。3分以内で簡潔に言えばよいというものではないのです。時間は多分に心理的影響を受けます。そして、物理的にも生理的にも、また感覚的にも操作できるものです。

 まず、「だれが主役か」「話題は何か」がポイントです。お客様が主役となって興味・関心事の話をするとき、その時間を「もったいない」「ムダな時間」とは思いません。そして、本当にどれだけ興味が継続するように話が展開していったか、役に立つと思われる内容がどれだけあり、説得力があったか、共感が得られたかということです。また、お客様により多くしゃべってもらい、さらにお客様に共感しながら、話をしてもらうように促していく。これがお客様の時間の感覚を短くさせるコツです。興味のない話を一方的に聞かされるのは、だれにとっても苦痛です。集中力も散漫になり、5分でも長く感じてしまいます。

 『あれ? もうこんな時間か、今日はイヤに時間の経つのが早いな』と感じてもらえば、30分以上でもありがたいと思われ、さらに興味を持ってもらえるのです。