師匠 鈴木丈織のベネフィットドクター⑩

幹部育成の環境づくり

 信頼でき、価値観や夢を同じくする部下を自分の片腕を担ってくれる幹部にしたいと思うのは当然です。しかし、初めからそのような人材がいるのではなく、育てていくものです。

 まずは、よく話し合い相互に認め合う存在になれるような環境づくりをすることです。

 人は、自分に対して素直な関心を向け、価値と存在を認めてくれる人に好意を持ちます。信頼さえよせます。たとえ違う価値観を持っている人でも、同じ目標に向かっていることがわかれば、素直に相手を受容し真意をくみ取ろうとします。自分とは仕事の価値観や信条が違う、好みが違う、何となく違うからというだけで何も聞かずに排他的になるから、誤解を生み、歩み寄ることもできなくなるのです。それでは、優秀な人材を活かすことができません。「価値観の違うほうが、新しい発想が期待できる」くらいの度量の大きさで幹部育成に取り組みましょう。

1.ミーティングや勉強会を設定する

 だれとでも気楽に話せる場が必要です。ミーティングや勉強会という客観的な場で議論できれば、まず話を聞き、違うならとことん議論しようという雰囲気が生まれます。またそこで所長の人間的魅力、度量の大きさを伝えることもできます。この小さな一歩が大きな人間理解につながります。お互いに価値と存在を認めあっている相互交換的な好意や信頼感が自信になり、成長につながるのです。

2.リーダーシップの発揮方向を教える

 幹部候補は、所長に代わってチームメンバーをまとめ、目標に向かわせる力が必要です。そのためにはとくに、次の2つの方向へリーダーシップを発揮すべきことを教えます。

 一つは、メンバーに役割分担させ、責任感と自主性を持たせるようにメンバーを導くこと。それにはチーム全体がコミュニケーションを密にして協力し合うことが重要です。

 もう一つは、先輩は知恵と経験を後輩に与え、後輩は若いセンスと新しい知識を伝えあう相互啓発が盛んになるような雰囲気づくりをして、チームを活性化させることです。