師匠 鈴木丈織のベネフィットドクター⑨

部下の潜在能力を引き出す質問の仕方

 幹部育成を成功させるためには、部下の自発性を引き出すためによりよい対話の状況づくりと的確な質問をして積極的に聞くことが重要です。例えば、現状把握が甘いと思えば、問題をはっきりさせるために、物事を具体的にとらえ、ビジュアル化するための質問を投げかけます。行き詰っている部下には、視点を変えさせたりモデル(模範)を探す手助けになるような質問を作り出して、部下の考えを喚起させ、気づきや閃きを促します。双方が話しているうちに閃きがヒントになり思わぬアイデアに発展して、一気に道が拓ける場合があります。

 聞きたいことを質問するのではなく、部下に明るい未来を予測させ具体的な目標設定ができるように、幹部育成を意識して質問を作り出すのです。それが的確であればあるほど、よりよい刺激になり創造的、行動的になれるのです。部下自身も気づいていなかった潜在能力を顕在化していくのも経営者の力量です。

1.正確な表現を使う

 「どんな感じ?」「どれくらい重要?」と聞かれても基準が明確でないと答えようがありません。「お客様はそのときどんな反応を示していたか?」「それは、この点からはどれくらい重要か?また、別の観点からはどうなのか?」と正確な表現を心がけること。

2.わかりやすく尋ねる

 所長自身の頭の中を整理して簡潔に話すこと。気を遣いすぎて前置きが長いのは最悪です。一度にたくさん質問しないで、一つずつ積み上げていくこと。

3.オープン・クエスチョンとクローズド・クエスチョンを使い分ける

 YESかNOで答えられるクローズド・クエスチョンは事実確認、情報収集、意見の整理、行動の具体策の確認に役立ちますが、詰問調になりがちです。

 反対に、5W2Hを聞くオープン・クエスチョンは部下に自由な発想を促し、問題解決へ導くものです。「~は、やったのか」だけではなく「何が気になっているの」「そのときどうすればよかったと思う」と、クローズド・クエスチョンのあとにオープン・クエスチョンを使うと効果的です。