師匠 鈴木丈織のコラム 2012.4.23

「自分自身とそとの世界とを正しく知るためには、

私は一人立ちになる必要があるのです」

イプセン(ノルウェー、劇作家)

 

人はいったいどのような状態になったら自立したといえるのでしょうか。

 

『人形の家』に登場するノラは、人形としてではなく、ひとりの人間として生きようとします。

ノラは、夫や子どもの中にあって苦悩し、自分自身に対して忠実であろうとします。

そしてまた、社会との対決を余儀なくされようとも、ひとりの人間として存在しようとします。

 

ノラは、他人に対して義務があると同時に、自分自身に対する義務もあると

主張したのです。

 

さらに彼女は、「世間の人がどういおうと、本にどう書いてあろうと、そんなことは

もう私には何の標準にもなりません。自分ひとりでよく考えて、物ごとをはっきりさせる

必要があるんです」と続ける。

 

いくら社会人として働いていても、それだけで自立したとはいえないことを示して

いるのです。