師匠 鈴木丈織のベネフィットドクター⑦

部下を育てる所長の聞き方

 忙しい時間をわざわざ作ったのだから、「早く話せ」「要領よく話せ」と命令的な態度や、「3分もあれば出てくる意見だな」と頭から否定しているような聞き方では、部下もかたくなになりユニークな発想は望めません。まして、単純な誤解、聞き間違い、勘違い、聞き漏らしがあっては双方向コミュニケーションには程遠いでしょう。

 聞き手が共通に持っている阻害要因を取り除きましょう。

1.部下や部下の話に先入観を持たない

 「また、どこかだれかの受け売りか」「威勢だけはいいな」など話を聞く前から勝手な思いを抱いてしまと、気に入った部下や自分にとってプラスの話なら熱心に聞き、肯定的に受け止めようとしますが、嫌いな部下やマイナスと判断した場合には話を聞く気になれません。まず素直な気持ちで相手を受け入れることが大切です。

2.自己中心に聞かない

 人は聞いた話に自分のイメージを付け加えて理解しているので、性急に同じだ、異なる、正しい、間違っていると、早合点する傾向があります。自分勝手に想像せず、相手の真意を確認することが大切です。

3.飽きずに聞く工夫をする

 人は飽きやすいので、話を聞くときは集中力や忍耐力が必要です。『何が言いたいのだろう』と常に相手に関心を向け、分からなければ積極的に質問しながら聞くことが大切です。

4.常に変化する自分の心に振り回されず、相手の真意に心を向けて聞く

 自分とは考え方が違うと思っても、話し手の一言一言に反応せず、相手の真意に気持ちを向けることです。心を閉ざさず『なぜこの人はそう言うのだろう』と好奇心を持って聞くことが大切です。

5.場の影響を受けやすいので、集中して聞く工夫をする

 話の途中で物音がしたり、虫が飛んできても集中力はそがれてしまいます。私たちはその場の状況変化に常に影響を受けています。したがって、注意散漫のまま聞き続けるより、変化に対処し、気分転換してから改めて集中して聴く姿勢をとることが大切です。