どこが変わる? 令和6年からの新NISA

6月は株価が上昇し「バブル後最高値更新」といった報道が連日ありました。そこで税制的に注目されるのがNISAかと思います。令和6年からNISAの新制度(以下「新NISA」)が適用されるため、適宜現行の制度(以下「現 NISA」)と比較しながら新NISA について整理しておきます。

 

1.概要

現NISAが適用となる令和5年の間に非課税口座で取得した上場株式等については、保有期間が最長5年とされているのに対して、令和6年からの新NISA では無期限に非課税とされます(いずれも対象は18歳以上(口座開設の年の1月1日現在)の居住者等)。新NISAは、つみたて投資枠(投資額は年間120万円が上限)と成長投資枠(投資額は年間240万円が上限)に区分され、両枠の併用が可能です。非課税保有枠は1,800万円ですが、このうち成長投資枠は1,200万円が上限ですので留意が必要です。また、非課税保有枠は簿価で管理されるため、保有している金融商品に係る含み損益の影響はありません。

さらに、新NISA では、非課税口座内の金融商品を売却した場合には、当該商品の簿価分の非課税枠を再利用できます。

 

2.対象となる金融商品

新NISAのうち、つみたて投資枠の対象となる主な金融商品は、①上場投信の受益権(いわゆる ETF)、②公募株式投信の受益権(不特定及び50名以上の投資家に向けて募集をかけるもの)ですが、金融庁の基準を満たした投信に限定されます。

一方で、成長投資枠の対象となる主な金融商品は、①上場株式、②上場投信の受益権、③公募株式投信の受益権、④上場不動産法人の投資口(いわゆる REIT)などです。ただし、監理銘柄等に指定された上場株式や信託期間 20年末満、毎月分配型の投信等は対象となりません。

 

3.口座開設手続

現NISA を利用するには、一般的には、非課税口座を開設しようとする金融機関に、「非課税口座簡易開設届出書」又は「非課税適用確認書の交付申請書 兼 非課税口座開設届出書」のいずれかを提出し、個人番号等を告知する必要があります。「非課税口座簡易開設届出書」を提出する場合、金融機関が申し込みを受け付けた日に口座開設が行われます。「非課税口座簡易開設届出書」は、初めて非課税口座を開設する場合にのみ使用できるものであり、平成 30年以後に非課税口座を開設したことがある場合には使用できません。

そのため、非課税口座を開設する金融機関を変更する等の理由で「非課税適用確認書の交付申請書 兼 非課税口座開設届出書」を提出する場合、金融機関と税務署とのやり取りが生じるため、口座開設まで一定の時間を要します。少なくとも、税務署内での口座開設の可否確認で 1~2週間程度かかることから、トータルのやり取りで、口座開設まで1か月程度は要すると見込んでおいた方がいいと考えられます。この点は、新NISAが適用されても大きな変更はないものと想定されます。

なお、新NISAは、現 NISA と異なり、口座開設期間に制限が設けられていません。したがって、新NISAの利用は、各人の都合に合わせてじっくりと検討することができると考えられます。