令和6年1月開始 電子帳簿保存法 保存義務者の対応とは? 

電子帳簿保存法の内容が改正され、令和6年1月1日から適用になりました。今回は、申告所得税・法人税に関して帳簿・書類の保存義務が課されている者(以下「保存義務者」といいます。)が対応する必要がある電子取引関係の内容について整理します。

 

1.検索要件

いわゆる検索要件をみたすための対応が不要な場合は、保存義務者が、判定期間に係る基準期間における売上高が 5,000 万円以下である事業者である場合、又は電子取引の取引情報について、整然とした形式及び明瞭な状態で出力した書面を、取引年月日その他の日付及び取引先ごとに整理されたものの提示若しくは提出の要求に応じることができるようにしている場合(以下「書面対応」といいます。)です。

それでは、書面対応の対応とはどのようなものかということになりますが、①取引年月日その他の日付、②取引先、③書面の種類といった単位ごとに、規則性を持って整理しておくことになります。さらに、書面だけでなく、出力元の取引情報についても提示等の要求に応じることができるように整理しておく必要がある点に留意が必要です。

なお、見積書のように、異なる取引条件等に応じた複数の見積金額が記録された見積書データを授受した場合は、複数の見積書データについて全件書面対応する必要はなく、実際に発注することになった見積書データのみ書面対応しておく等の対応でも差し支えないと考えられます。

 

2.検索要件等に対応できない場合

判定期間に係る基準期間における売上高が 5,000 万円超である保存義務者は、原則として電子取引の取引情報について検索要件等に対応する必要がありますが、電子取引を行った場合において、災害その他やむを得ない事情により、電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存をすることができなかったことを証明した場合、又は納税地等の所轄税務署長が保存をすることができなかったことについて「相当の理由」があると認め、かつ、当該保存義務者が整然とした形式及び明瞭な状態で出力した書面の提示等の要求に応じることができるようにしているときは、書面対応が容認されます。

「相当の理由」とは、システム等や社内でのワークフローの整備が間に合わない場合等が挙げられますが、保存義務者の実情に応じて判断されるため、システムやワークフローの整備が間に合わない経緯を整理しておく必要があります。加えて、システムやワークフローの整備が間に合わないとしても、書面対応と、書面対応の基になる出力元の取引情報についても提示等の要求に応じることができるように整理しておく必要がある点に留意が必要です。