あらためて確認したい 法人格ごとの税率の違い

法人税は、法人格の違い等により適用される税率が変わります。所得の計算に入る前に改めて確認しておきたいと思います。

 

1.普通法人

現在の税率は23.2%ですが(法法66①)、資本金が1億円以下の内国法人は、各事業年度の所得の年800万円以下の部分に対し15%の税率を適用するという特例があります(措法42の3の2①、法法66②)。この特例は、内国法人が資本金の額が5億円以上の法人等との間に完全支配関係がある場合等は適用されないため留意が必要です(法法 66⑤、措法42の3の2①)。また、その事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の所得金額の年平均額が15億円を超えることにより、法人が租税特別措置法上の適用除外事業者となる場合は、15%ではなく、19%の税率です(措法42の3の2①、措法 42の4⑲八)。このほか、特定同族会社に該当する場合の特別税率にも留意が必要です(法法 67)。

 

2.協同組合等

協同組合等とは、農業協同組合等の法人をいいます(法法2七、別表第三)。協同組合等に該当すると、事業分量配当等が損金算入できる等の規定が適用されます(法法60の2)。なお、法人税法別表第三には数多くの法人が規定されていますが、除外規定がある場合があります。したがって、適用の可否を判断するに当たっては、必ず別表第三をチェックする必要があります。協同組合等の現在の税率は各事業年度の所得の年800万円以下の部分は15%、それを超える部分は19%です(措法42の3の2①、法法66③。ただし、この特例は、その事業年度における物品供給事業のうち店舗において行われるものに係る収入金額の年平均額が1,000億円以上であるなどの一定の要件を満たす場合、所得の年 10億円超の部分については、22%の税率です(措法 68①)。

 

3.公益法人等

公益法人等とは、公益財団法人等の法人をいいます(法法2六、別表第二)。公益法人等に該当すると、収益事業から生じた所得のみが課税対象となります(法法6、法令5)。公益法人等のうち、法人税法別表第二に掲げる一般社団法人等に該当する法人(みなし法人含む)の現在の税率は各事業年度の所得の年 800万円以下の部分は15%、それを超える部分は 23.2%で、一般社団法人等に該当しない法人の現在の税率は、それぞれ15%と19%です(措法 42の3の2①、法法 66①②③)。なお、人格のない社団等の現在の税率は、それぞれ 15%と23.2%です。

 

4.特定の医療法人

特定の医療法人とは、公益の増進に著しく寄与するものとして国税庁長官の認定を受けた法人をいいます(措法 67 の2①)。特定の医療法人に該当しない法人は、公益法人等に含まれます(法法2六、別表第二)。特定の医療法人の現在の税率は各事業年度の所得の年800万円以下の部分は15%、それを超える部分は19%です(措法42の3の2①、法法 66③)。