パワハラを起こさない職場作り

相談件数はパワハラがトップ

 

毎年、全国の労働局への相談件数のうち一番件数が多いのがパワーハラスメント(パワハラ)です。厚労省ではパワハラを「職場の地位や人間関係等職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて同じ職場で働く者に精神的身体的苦痛を与えるまたは職場環境を悪化させる行為」と定義しています。厚労省の調査でも4人に1人がパワハラを受けたことがあると回答しています。どうしてパワハラは問題になるのでしょうか。

パワハラが発生すると、その影響は被害者ばかりではなく加害者にも周囲の従業員や使用者にも及びます。パワハラを受けた人が精神的に苦痛となり休職した場合、職場風土を悪くしたり、士気の低下があったり、生産性が低下したり、退職等で人材が流出したりして健全な経営に支障が出ることがあります。

 

パワハラの6分類

 職場のパワハラは6つに類型化されます。

 

①身体的な攻撃:暴行、傷害

②精神への攻撃:脅迫、侮辱、ひどい暴言を吐く、名誉毀損(きそん)

③人間関係からの切り離し:隔離、仲間はずし、無視

④過大な要求:本人の能力を超える仕事の勉要、仕事の妨害

⑤過小な要求:本人の能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事の強要

⑥個の侵害:私的なことに過度に立ち入る

 

①~③の類型は業務上の必要性がないか希薄であり、④~⑥は業態や企業文化で適正な範囲内かどうかが異なることがあります。

 

パワハラを起こさない対策

 パワハラは上司と部下の関係ばかりでなく、同僚や先輩、後輩の間にもありますし、能力、容姿、成績の優劣、学歴等が原因のこともあります。

取り組みとしては、会社が方針を示し、アンケート等の実施、管理職や一般社員への研修等は必要でしょう。気づかないで行っている場合もあり、パワハラを減らすだけでなく、環境改善ができれば信頼感や意欲の高まりにつながります。上司は指導との線引きが難しいと思う場面もあるかもしれませんが、人格を攻撃することなく冷静に仕事に対する注意を行うことは大事です。