株式の合同・分割・無償割当

会社は、必要なときいつでも株式の併合または分割ができます。

 

会社法上の手続き

 株式の併合とは、10株を1株にするなどして株式数を減らすことです。その手続きには、株主総会の特別決議を必要とします。一方、株式の分割は、1株を10株に細分するなど株式数を増加させることで、その手続きには、株主総会の普及決議または取締役会設置会社にあっては取締役会の決議で行うことができます。

両者のこの手続き上の差異は、前者は併合により単元未満株式となり、株主としての権利を失うおそれがあること、一方、後者は少数株主であっても、株主権を失うおそれがないことによるものです。

また、株式の無償割当は、株主に対して新たな払い込みをさせずに会社の株主の割当を行うもので、その手続きは、基本的には分割と同じです。

しかし、分割と無償割当では、前者は自社株式も分割の対象となるが自社株を交付株式とすることはできない、一方、無償割当は自社株式にはできないが自社株式を割り当てることができる、といった違いもあります。

 

税務における処理

(1)発行会社の処理

併合また分割が行われた場合であっても、それだけでは株式発行法人の純資産の部の金額が変動するわけでありませんので、結果、課税関係が生じることはありません。また、原則、資本等の金額または利益積立金の調整も必要ありません。

(2)株主の処理

株主の併合は、株数が減っても対価がありませんので、有価証券の譲渡にあたりません。しかし、併合により株式数が減少することから、1単位あたりの帳簿価額の付け替え計算が必要になります。

また、株式の分割や無償割当により既存株式と同種株式を取得した場合には、その取得価額をゼロとして、一単位あたりの帳簿価額を算出します。

なお、株式の併合または分割に際して1株未満の端数が生じた場合には、発行法人はこれを一括譲渡し、その譲渡代金を端株主に交付します。この交付金銭は株主の譲渡対価になりますので、端株主は付け替え計算後の1株未満の株式の帳簿価額を譲渡原価として譲渡損益を計算することになります。