オリンピックに見る日本の帰化事情

オリンピックと帰化

今年のリオデジャネイロオリンピックでは、日本のメダル獲得数が史上最多の41個となり、大いに盛り上がりました。若手選手の活躍も見られ、4年後の東京オリンピックに向けさらに、期待が高まります。

今回のオリンピックでは、カンボジア国籍を取得したお笑いタレントの猫ひろしさんが、初のオリンピック出場を果たしたことも話題となりました。猫ひろしさん以外にも、卓球では中国出身の選手がヨーロッパ諸国をはじめとした国々の国籍を取得し、代表選手として出場する例が数多く見受けられました。

自らの意思で他の国の国籍を取得することを「帰化」といいます。日本にも帰化をして日本国籍を取得したスポーツ選手はいますが、その数は決して多くありません。これには、他国に比較して厳しい帰化条件が課せられていることにひとつの要因があると考えられます。

 

日本での帰化条件

 帰化の条件はその国々により異なります。日本では国籍法により条件が定められており、一般的には次のようなものが挙げられます。

①引き続き5年以上日本に住所を有すること。

②年齢が20歳以上であり、かつ、本国の法律によっても成人の年齢に達していること。

③素行が善良であること。

④日本で生計維持できる能力があること。

⑤帰化した場合、これまでの国籍を喪失すること。(重国籍の防止)

⑥憲法を遵守すること。

この他、明文化されてはいないものの、日本ご能力も条件とされており、小学校2~3年生レベルの読み書きができる必要があります。

 

国籍取得までの道のりが長い日本

 特にハードルとなるのが①の住所に関する条件でしょう。留学など本国に帰ることが前提である在留資格(≒ビザ)の期間は「住所を有する」と認めてもらえません。就労できる在留資格を得るにも学歴や職務経験、実績などが求められます。

日本人の配偶者である場合等、上記の条件が緩和されるケースもありますが、こうした特殊な事情がある場合を除いて、オリンピック出場が可能な年齢の間に日本国籍を取得することはかなりハードルが高いのです。