事業年度の変更 基準期間とその課税売上

事業年度の変更は、グループ間企業の決算期の調整といった観点からなされることが多いように思われますが、一方、節税対策の目的で事業年度の変更がなされることもままあります。

例えば、立ち退き料の収受、不動産の譲渡、そして、死亡保険の受領といった場面などです。

 

消費税の基準期間

 しかし、事業年度の変更は、結果として翌々課税期間の消費税の計算にも影響を及ぼすことがあります。

消費税の課税事業者または、簡易課税の適用の有無を判定する基準期間の課税売上は、前々事業年度の課税売上ですが、事業年度の変更によって、その前々事業年度の課税売上とはいきません。

この場合、基準期間は、その事業年度開始の日の2年前の日の前日から同日以降1年を経過する日までの間に開始した各事業年度を合わせた期間とされています。

少し分かりにくい規定ですので、具体的な事例で理解したいと思います。

毎事業年度(10月1日~翌年9月30日)を平成28年度に変更し、5月決算としました。これにより、変更初年度の事業開始事業年度は、平成28年6月1日~平成29年5月31日となり、以降毎年6月1日~翌年5月31日が事業年度となります。

この変更により、平成29年6月1日開始事業年度の基準期間は、平成27年10月1日~平成28年5月31日と1年未満となっています。したがって、この規定に当てはめて基準期間を求めると次のようになります。

平成29年6月1日開始の2年前の日は平成27年6月2日となり、そして、その前日は平成27年6月1日となります。それから、その日以降1年を経過する日までに開始した各事業年度を合計した期間ということですから、結局、平成28年5月末までの8ヶ月のみということになります。

 

基準期間1年未満の場合の課税売上

 この場合、基準期間の課税売上は、1年未満基準期間の課税売上がそのままストレートに該当するわけでははなく、その期間の課税売上をその期間の月数(事例では8ヶ月)で除し、これに12を乗じて1年分に換算した金額となります。