労使コミュニケーションの実態

厚生労働省が昨年発表した「平成26年労使コミュニケーション調査」は、労使間の意志の疎通方法やその運用状況等、事業所と労働者の意識の実態を調査したものです。全国約5,500事業所で常用労働者数30人以上の事業所と、そこに雇用される労働者約6400人を対象に調査が行われました。

 

労使関係の維持について労使の意識差

「労使関係は安定的に維持されている・おおむね安定的に維持されている」と回答した使用者側は86.9%で「どちらとも言えない」は9.7%、「やや不安定又は不安定」は1.6%でした。

一方、労働者の回答は「良好」は55.1%であり、「どちらとも言えない」は33.5%、「悪い」は11.3%となっています。ここでは両者のギャップが見えます。

 

重視する労使コミュニケーションは

 「どのような面で労使コミュニケーションを重視するか」(複数回答)の問いには、使用者側は①「日常常務改善」(75.3%)、②「作業環境改善」(68.5%)、③「職場の人間関係」(65.1%)の順となっています。一方、労働者側は①「職場の人間関係」(62.6%)、②「日常業務改善」(53.2%)、③「作業環境改善」(49.9%)でした。

 

労働者の処遇に関する項目

労働者個人の処遇について、不平不満を事業所に訴えたことがある労働者は16.5%で、その方法は「直接上司へ」(78.2%)、「労働組合等」(18.0%)となっています。

その内容は、「日常業務の運営に関すること」(53.9%)が最も多く、「人事(配置、出向、昇進等)に関すること」(40.0%)、「労働条件に関すること」(39.8%)と続いています。

不満を伝えた結果、「納得のいく結果が得られた、検討中のようだ」は38.1%、「得られなかった」が49.9%となっています。

調査結果を見ると、不平・不満は黙っていることも多く、話してもしょうがないと思っているふしも見受けられます。使用者側でも社員の意見を十分取り上げることは難しいものです。

しかし、労使コミュニケーションを図るためには対話を進めることは避けられないでしょう。