平成28年度税制改正大綱の概要 その1

<消費税の軽減税率>

難航していた自民・公明両党による消費税の軽減税率をめぐる協議が合意に至り、12月16日に平成28年度税制改正大綱が決定した。大綱の焦点となっていた消費税の軽減税率は、消費税率を10%に引き上げる平成29年4月1日から導入する。

平成29年4月1日以降も8%に据え置く軽減税率の対象品目については、酒類及び外食を除く「飲食料品(食品表示法に規定する食品)」と、定期購読契約が締結された週2回以上発行される「新聞」が対象となる。

これにより、飲食料品のうち軽減税率の対象外となる外食には法律上の定義がないため、線引きが課題となっていたが、線引き案として、飲食店などが「テーブルや椅子など、その場で飲食させる設備を設置した場所で行う食事の提供、その他これに類するもの」を外食と定義。店内飲食は原則対象外とする一方、飲食店からのテイクアウトや宅配、出前などは対象となる。

また、イートインコーナーがあるコンビニ内での飲食は、持ち帰り可能な弁当や惣菜などは対象だが、返却が必要なトレーなどに盛られた飲食料品は対象外となるほか、玩具付きの菓子などのいわゆる一体商品は、主体が飲食料品で一定金額以下であれば対象となる。財務省では不明瞭な品目の洗い出しを進め、早急に詳細なルール作りを行う考えだ。

なお、軽減税率の導入に伴う複数税率に対応した仕入税額控除の方式としては、平成33年4月1日から品目ごとの適用税率や消費税額など一定の事項を記載した「適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)」を導入する。

それまでの間は、簡素な方法として現行の請求書等保存方式を維持しつつ、課税仕入れが軽減税率対象品目に係るものである場合に、「軽減対象課税資産の譲渡等である旨」及び「税率の異なるごとに合計した対価の額」を請求書等に記載すべき事項として加え、区分経理に対応する。

また、複数税率に対応した区分経理が困難な中小事業者や、システム整備が間に合わない事業者等がいることを想定し、売上税額又は仕入税額を簡便に計算することを認める「みなし課税」を特例措置として創設する。