タワマン節税に対する監視を強化

今年から相続税の基礎控除額が「3,000万円+600万円×法定相続人数」に引き下がるとともに、最高税率は55%に引き上げとなり、相続対策の関心が高まっているが、近年、雑誌などでも取り上げられているタワーマンションを利用した相続税の過度な節税に対して、国税庁が監視を強化している。

タワーマンション節税とは、高層マンションなどの市場価格と財産評価基本通達に基づく相続税評価額との乖離を利用して相続税負担の軽減を図る節税スキーム。

評基通に基づくマンションの相続税評価額は、「区分所有建物の価額+敷地(敷地権)の価額」で計算され、建物は固定資産税評価額、敷地は敷地全体の評価額を敷地権の割合で算出した額となるが、高層マンションほど各戸の敷地持分は小さくなるため、市場価格に対して評価額が低くなる傾向がある。

また、マンションの市場価格には眺望や日当たりといった需要が反映されるため、高層階になるほど値上がりする傾向にあるが、相続税評価額は階や方角に関係なく、同じ専有面積であれば同じ評価額になる。

そのため、タワーマンションの高層階になるほど市場価格と相続税評価額との乖離が大きくなりやすく、節税効果が高いとして富裕層の相続対策に用いられるケースが増えているようだ。

国税庁は、このようなタワーマンションを利用した過度の節税が増えている事態を問題視しており、国税局に対して監視強化し適正に対応するよう指示を出している。

相続財産は、評基通に定められた方法で評価することが原則だが、評基通6項には「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する」と定められており、この6項の適用を含め対応する方針だ。

なお、これまでにも相続直前にマンションを購入し、相続開始直後に売却した事案などで6項が適用され、評基通による評価方法が否認されているが、今後、6項の適用が増える可能性も考えられるため、注意が必要だ。