3万円以上の領収書等も対象となるスキャナ保存

国税関係書類に係るスキャナ保存は、現行、決算関係書類や記載金額3万円以上の契約書・領収書等を除く書類について認められているが、利用が進まないことなどから、平成27年度税制改正において要件緩和などの見直しが行われた。

契約書・領収書等については、記載金額3万円未満のものがスキャナ保存の対象となっているが、この金額基準が撤廃され、全ての契約書・領収書等がスキャナ保存の対象となる。ただし、契約書・領収書等は重要書類として、適正な事務処理の実施を担保する規程の整備と、これに基づき事務処理を実施していることがスキャナ保存に係る承認の要件(適正事務処理要件)として新たに設けられた。具体的には、①相互に関連する各事務について、それぞれ別の者が行う体制(相互けん制)、②当該各事務に係る処理の内容を確認するための定期的な検査を行う体制及び手続(定期的なチェック)、③当該各事務に係る処理に不備があると認められた場合に、その報告、原因究明及び改善のための方策の検討を行う体制(再発防止)、を社内規程等において整備するとともに、これに基づいて事務処理を実施する必要がある。

この他、スキャナで読み取る際に入力者等の電子署名を行った上でタイムスタンプを付すことが要件とされていたが、電子署名については不要とされる。ただし、入力者等に関する情報を書面又は電子記録により確認できるようにしておくことが必要となる。

また、重要書類以外の一般書類(見積書、注文書等)については、スキャナで読み取った際の書類の大きさに関する情報の保存を不要とするとともに、カラーでの保存を不要とし、グレースケール(いわゆる白黒)の保存でも要件を満たすことになった。

これらの改正は、平成27年9月30日以後に提出する申請書に係る国税関係書類について適用されるが、スキャナ保存の承認を受けようとする場合は、3ヵ月前に申請書を提出することとされているため、平成28年1月1日から改正後のスキャナ保存を行うことができる。