e-Taxにおける電子署名等の簡素化

e-Taxにより申告等を行う者は、平成16年の制度導入以降、着実に増加しており、利用率は平成25年度の所得税の確定申告で5割を超えている。

ただし、その内訳をみると、委嘱を受けた税理士や、税務署に設置される端末を利用して行われているものが9割超を占め、納税者本人が自宅等から行っているものは8%程度にとどまる。

この要因として、e-Taxにより申告等を行う場合は原則、電子署名の添付が要件とされており、事前準備として電子証明書の取得やこれを読み込むためのICカードリーダライタの購入が必要なこと、さらには2種類のパスワード(電子証明書用、e-Taxログイン用)を入力する必要であるなど手続きが煩雑であることが指摘されている。

そのため、平成27年度税制改正において、申請等を行う際の電子署名等の送信について簡素化が行われることになった。

具体的には、e-Taxの申請等に係る開始届け出の際、

①携帯電話等を使用して携帯音声通信による応答をする

②開始届け出に電子署名等を付して送信する

③税務署等に設置される端末を使用する

④市町村に設置される端末を使用する、

のいずれかにより行われる本人確認に基づき通知されたID・パスワードを入力して申請等を行う者は、電子署名等の送信が不要となる。上記①については、利用者とe-Taxの間でパソコンおよび携帯電話等によりインターネットを経由して必要な情報(携帯電話等の番号や認証コードなど)の授受を行った上、e-Taxから利用者へID・パスワードを配信する方法が考えられており、③と④は端末の使用の際、税務署職員等により本人確認が行われる。

また、地方自治体の申告相談会場に設置される端末を利用して申告書を作成する際には、市町村の職員によって本人確認が行われていることから、「市町村に設置される端末を使用してe-Taxにより申請等を行う者」についても、電子署名等の送信が不要となる。これらの改正は、平成29年1月4日以後に行うe-Taxによる申請等について適用される。