平成26年度の国税不服申立状況と改正

平成26年度の国税不服申立状況と改正

税務署長などが課税処分や滞納処分を行った場合、納税者がその処分に不服があるときは、処分の取り消しなどを求めて不服申し立てを行う。

この不服申立制度には、処分庁に対する「異議申し立て」と国税不服審判所長に対する「審査請求」があり、原則として異議申し立てに対する決定があった後の処分に不服がある場合、国税不服審判所長に対して「審査請求」ができる。さらに国税不服審判所長の裁決にも不服がある場合は、裁判所に「訴訟」を起こすことになる。

国税庁によると、平成26年度における異議申し立ての件数は2,755件で、前年度と比べ16.8%の増加となった。また、平成26年度に処理した2,745件のうち、納税者の主張が何らかの形で受け入れられた件数は256件(一部認容189件、全部認容67件)で、その割合は9.3%と前年度比0.7ポイント減少している。

一方、審査請求件数は2,030件で、前年度と比べ28.9%の減少となった。また、平成26年度の処理件数2,980件のうち、納税者の主張が何らかの形で受け入れられた件数は239件(一部認容122件、全部認容117件)で、その割合は8.0%と、前年度比0.3ポイント増加している。

訴訟については237件発生し、前年度と比べ18.3%の減少となった。また、平成26年度に終結した280件のうち、国側が一部敗訴したもの及び全部敗訴したものは19件(一部敗訴6件、全部敗訴13件)で、その割合は6.8%と前年度比0.5ポイント減少している。

なお、平成26年6月に行政不服審査法が改正されたことに伴い、国税に関する不服申立制度についても見直しが行われ、国税に関する処分に不服がある場合は、直接国税不服審判所長に対して審査請求ができる、●現行の異議申し立ては「再調査の請求」に改められ、請求人の選択により、審査請求の前に再調査の請求ができる、●不服申し立てをできる期間が処分のあったことを知った日の翌日から「3ヵ月以内」に延長される、などが実施される。

これらの改正は、行政不服審査法の施行日(平成26年6月13日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日)から適用される。