平成27年1月前に取得した美術品等の取り扱い

平成271月前に取得した美術品等の取り扱い

 

美術品等(絵画や彫刻等の他工芸品などが該当)が減価償却資産に該当するかどうかの判定は、通達改正により平成27年1月から取り扱いが見直されている。

改正後は、美術品等の取得価額が1点100万円未満の場合は、原則として減価償却資産に該当し、取得価額が1点100万円以上の場合は、原則として非減価償却資産に該当するものとして取り扱われることになった。ただし、取得価額が100万円未満でも「時の経過によりその価値が減少しないことが明らかなもの」は非減価償却資産に該当し、また、100万円以上でも「時の経過によりその価値が減少することが明らかなもの」は減価償却資産に該当する。

「時の経過によりその価値が減少することが明らかなもの」とは、例えば、①会館のロビーのような不特定多数の者が利用する場所の装飾用や展示用(有料公開を除く)として取得されるもの、②移設することが困難で当該用途にのみ使用されることが明らかなもの、③他の用途に転用すると仮定した場合に、その設置状況や使用状況からみて美術品等としての市場価値が見込まれないもの、の全てを満たす美術品等が挙げられている。

改正後の取り扱いは、平成27年1月1日以後に取得する美術品等に適用されるが、平成27年1月1日より前に取得し、改正前は非減価償却資産に該当していた美術品等について、平成27年1月1日以後最初に開始する事業年度(適用初年度)に再判定を行い、減価償却資産に該当することになった場合は、適用初年度以後の事業年度において減価償却を行うことができる。

この場合の償却方法は原則、その美術品等を実際に取得した日に応じた方法(例えば、平成19年3月31日以前は旧定額法又は旧定率法)によることになるが、取得日を適用初年度開始の日とみなすこととして定額法又は200%定率法が選択できる(中小企業者等は少額減価償却資産の特例も適用可)。

なお、平成27年1月1日より前に取得した美術品等について、適用初年度において減価償却資産の再判定を行わなかった美術品等については、従前の取り扱いのとおり、減価償却を行うことはできないことになるので注意が必要だ。