競馬の払戻金に係る判決を受け通達改正

競馬の払戻金に係る判決を受け通達改正

国税庁は、競馬の払戻金に係る最高裁判決を受けて、所得税基本通達34-1(一時所得の例示)の改正案を公表し、現在、意見公募を実施している(4月24日まで)。

これは、競馬の払戻金を申告せず、3年間で約5億7千万円を脱税したとして、所得税法違反罪に問われた元会社員の男性の裁判で、払戻金の取扱いをめぐり、外れ馬券が必要経費に認められるかが争点となっていたもの。

男性は馬券を自動的に購入するソフトを使用し、独自の条件設定と計算式に基づいてインターネットで長期間にわたり、ほぼ全レースの馬券を購入。3年間で約28億7千万円分を購入し、約30億1千万円の払戻金を得ていたが、競馬の払戻金は、一時所得として取り扱われているため、必要経費は当たり馬券の購入代金のみとなり、約28億8千万円が所得になるとして課税処分を受けていた。

最高裁判決では、男性が長期間にわたり機械的、網羅的な購入方法で利益を得ていることから、払戻金は営利を目的とする継続的行為から生じた所得として、一時所得ではなく雑所得に当たるとの判断を示し、外れ馬券を含む、全ての馬券の購入代金が必要経費として認められた。

判決による所基通の改正案では、一時所得に該当する例示の(2)競馬の払戻金、競輪の車券の払戻金等の後に「(営利を目的とする継続的行為から生じたものを除く)」との文言を加える。

また、注意書きとして「1.馬券を自動的に購入するソフトウェアを使用して独自の条件設定と計算式に基づいてインターネットを介して長期間にわたり多数回かつ頻繁に個々の馬券の的中に着目しない網羅的な購入をして当たり馬券の払戻金を得ることにより多額の利益を恒常的に上げ、一連の馬券の購入が一体の経済活動の実態を有することが客観的に明らかである場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得として雑所得に該当する」、「2.上記1以外の場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得は、一時所得に該当することに留意する」と加えている。