ふるさと納税の返礼品、 過熱する競争にブレーキ?

ふるさと納税の返礼品、 過熱する競争にブレーキ?

 

平成27年度税制改正では、ふるさと納税の拡充が盛り込まれているが、寄付を受けた自治体からの返礼品競争が激化し、政府も奨励しながらクギをさすという二律背反の事態になっている。

ふるさと納税は、個人が出身地や応援したい都道府県・市区町村に寄付をした場合、2,000円を超える部分について、所得税と住民税から一定限度まで控除できる制度。総務省の調べによると、平成25年度の制度利用者は10万6,446人、寄付額は130億1,127万円にのぼるが、寄付をした自治体からお礼として贈られる特産品などが話題となり、返礼品目当てに利用者が急増している。

国も利用者増加を後押しするため、平成27年度税制改正により、住民税から控除できる特例控除限度額を住民税所得割の2割(現行1割)に引き上げるほか、確定申告を行わない給与所得者等に代わり、寄付先の団体が控除手続を行う「ふるさと納税ワンストップ特例」を創設するが、大綱には返礼品について、「寄付控除の趣旨を踏まえた良識ある対応を要請する」とクギをさしている。

しかし、寄付額の増加を目指す自治体は、アンコウの切り身(島根県浜田市)や、たらちり鍋セット(北海道えりも町)など、高価な地元特産品の返礼品はもちろん、PC(長野県飯山市)や外国産カブトムシ(香川県東かがわ市)、水素燃料車の無料貸し出し(愛知県豊田市)など、競争はエスカレートしている。

こうした事態に頭を悩ます総務省サイドは、衆院予算委員会での質問に対して高市早苗総務相が「速やかに節度ある対応について(自治体に)通知したい」と答弁し、事態沈静化に乗り出す考えを示したものの、自治体の自主性を擁護する立場の総務省は、頭越しに「指導」することはできない。「良識」をどうあらためて要請するか、頭の痛い課題を抱えている。