固定資産税の特例から除外となる「特定空家等」

固定資産税の特例から除外となる「特定空家等」

近年、空き家が全国的に増加しており、総務省が実施した住宅・土地統計調査によると、全国の空き家の数は820万戸(平成25年10月1日時点)に上り、このうち「賃貸用又は売却用の住宅」及び「別荘などの二次的住宅」を除いた空き家の数は318万戸となっている。

このような空き家の中には、適切な管理が行われていないために、防災や衛生、景観などの問題で、地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしているものがある。そのため、空き家の除去・適正管理を促進し、市町村による空き家対策を支援することなどを目的とした「空き家等対策の推進に関する特別措置法」が平成27年2月26日に一部を除き施行された(完全施行は平成27年5月26日)。

同法では、

●そのまま放置していると倒壊など著しく保安上危険となる恐れのある状態、

●著しく衛生上有害となる恐れのある状態、

●適切な管理がされていないため著しく景観を損なっている状態、

●その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にある空き家等を「特定空家等」

と定義し、市町村による立ち入り調査や、所有者に対する修繕等の命令、解体撤去の行政代執行などが可能になる。

また、平成27年度税制改正においては、特定空家等の敷地に対する固定資産税等の住宅用地特例が見直される。住宅用地特例は、固定資産税の課税標準額を1/6(200㎡以下の部分)又は1/3(200㎡超の部分)に、都市計画税の課税標準額を1/3(200㎡以下の部分)又は2/3(200㎡超の部分)とする軽減措置だが、建物を除却して更地にすると特例が使えなくなるため、空き家の放置につながっていると指摘されていた。

そのため改正では、「市町村長が特定空家等の所有者等に対して周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置を取ることを勧告した場合は、その特定空家等に係る敷地について、固定資産税等の住宅用地特例の対象から除外する」こととされた。