相続税の申告状況と来年1月適用の改正

相続税の申告状況と来年1月適用の改正

国税庁は平成25年中に亡くなった被相続人に係る相続税の申告状況を公表した。

これによると、平成25年中に亡くなった被相続人数は約126万8千人、このうち相続税の課税対象となった被相続人数は約5万4千人で、課税割合は4.3%となった。相続税の納税者である相続人数は約13万1千人である。

課税価格(相続財産価額から被相続人の債務・葬式費用を控除し、相続時精算課税適用財産価額及び相続開始前3年以内の生前贈与財産価額を加えたもの)は11兆6,253億円、税額は1兆5,367億円であった。

被相続人1人当たりでは課税価2億1,362万円、税額2,824万円である。相続財産の金額で最も多いのは、土地の5兆2,073億円(構成比41.5%)、次いで現金・預貯金等3兆2,548億円(同26.0%)、有価証券2兆676億円(同16.5%)と続く。なお、来年1月から相続税の基礎控除額が「3,000万円+600万円×法定相続人数」に引き下げられることになるが、これにより課税割合が6%程度に増加すると試算されており、特に地価の高い都市部で大きな影響を受けることが予想される。

また、基礎控除額引き下げとともに税率構造も見直され、現行の6段階から8段階となり、最高税率が55%に引き上がることになる。一方、未成年者控除は20歳までの1年につき現行6万円を10万円に、障害者控除は85歳までの1年につき現行6万円(特別障害者12万円)を10万円(特別障害者20万円)に控除額が引き上がる。

小規模宅地等の特例については、相続税評価額が8割減となる居住用宅地の適用対象面積が現行240㎡から330㎡に拡大されるとともに、居住用宅地と事業用宅地を併用する場合にそれぞれの限度面積(居住用330㎡、事業用400㎡)まで適用可能になる(貸付用は現行通り調整を行う)。

なお、相続により取得した土地等を相続後3年以内に譲渡した場合、相続した全ての土地等に対応する相続税額を取得費に加算できる取得費加算特例も見直され、取得費には譲渡した土地等に対応する相続税額のみ加算できることになる。