平成25年事務年度 法人税等の調査事績と事例

平成25年事務年度 法人税等の調査事績と事例

国税庁が公表した平成25事務年度(平成25年7月~平成26年6月)の法人税等の調査事績によると、調査必要度が高い法人9万1千件(前年対比2.8%減)について実地調査を行った結果、法人税の非違があったのは6万6千件(同3.2%減)、その申告漏れ総所得金額は7,515億円(同24.8%減)、追徴税額は1,591億円(同24.2%減)となった。

また、法人消費税については、法人税との同時調査等として8万7千件(同1.9%減)の実地調査が行われ、そのうち4万9千件(同1.7%減)に非違があり、追徴税額は378億円(同20.3%減)となっている。

実施された調査には、以下のような事例があった。【稼動無申告事案】建設業を営んでいる調査法人は、多額の利益を得ていたが、稼動実態がないかのように装うために、代表者が以前設立した休眠中の会社名義や元従業員の名義を用いて取引を行い、売上代金等を複数の休眠会社名義や元従業員名義の借名口座に振り込ませることで利益を隠し、税務署に申告せず納税を不正に免れていた。

【海外取引事案】法定調書として国税庁へ提出された国外送金等調書を分析したところ、機械製品の輸出業を営んでいる調査法人は、X国に所在するA社から多額の送金を受領しているにもかかわらず、売上を申告せず、公表外の法人名義の預金口座に売上代金を入金させ、最終的に代表者等の個人名義の定期預金へ振替えていた。

【消費税不正還付事案】携帯電話等の輸出・販売を営んでいる調査法人は、国外企業B社から依頼され、B社が国内の輸出業者Cへ支払う代金を地下銀行を通じて受け取り、Cへの代金を代わりに振り込んでいた。

この支払い代行を利用し、B社からの入金を売上(免税売上)、Cへの支払いを仕入(課税仕入)にすることで、あたかも調査法人がCから仕入れてB社へ売り上げているかのように仮装し、不正に消費税の還付を受けており、還付金の一部をB社にバックしていた。