年金受給権に係る相続税評価の取扱い変更

年金受給権に係る相続税評価の取扱い変更

国税庁は、東京高裁での国税当局敗訴の判決を受け、年金の方法により支払いを受ける保険金の受給権の相続税法上の評価について、取扱いを変更することになった。

従来は、年金の方法により支払いを受けることが定められた生命保険契約で、相続開始時に年金の種類、年金の支払期間、支払金額の総額、一年間に支払いを受けるべき金額等が定まっていない場合の保険金の受給権については、相続税法第24条「定期金の権利の評価」(改正前の相続税法第24条の規定を含む)を適用せず、同法第22条の規定に基づき、その保険金を一時金で支払いを受ける場合の金額により評価することとしていた。

この取扱いについて、「契約者が年金の方法により死亡保険金の支払いを受ける契約を締結し、かつ、死亡保険金の支払事由の発生後に死亡保険金の受取人が年金の種類、年金の受給期間等を指定することが契約により予定されている生命保険契約に係る死亡保険金の受給権の価額については、受取人が相続開始後、受給開始前に指定を行ったことにより確定した年金の種類、受給期間等を基礎として相続税法第24条の規定を適用して算定する」とした。

変更後の取扱いは、過去にさかのぼって適用されることになるため、この取扱いの変更を知った日の翌日から2カ月以内に更正の請求の手続きをすることで、納めすぎとなっている相続税または贈与税について還付を受けられるが、相続税については法定申告期限から既に5年を経過している年分、贈与税については法定申告期限から既に6年を経過している年分は、対象外となる。

なお、大幅な評価減が可能であった改正前の相続税法第24条は、平成23年3月31日以前に相続等により取得した定期金に関する権利について適用される(平成22年4月1日から平成23年3月31日までの間に締結された定期金給付契約に関する権利で、平成23年3月31日までの間に相続等により取得したものは、現行の相続税法第24条を適用)。