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法人実効税率の引下げで課題となる代替財源

 

政府が先月下旬に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2014」(骨太の方針)では、法人実効税率を現在の約35%から数年で20%台に引き下げる方針が盛り込まれた。

実効税率を引き下げる場合、代替財源が大きな課題になるが、政府税制調査会が取りまとめた法人税の改革案では、改革の方向性として、例えば、租税特別措置については、①期限の定めのある政策税制:原則、期限到来時に廃止する、②期限の定めのない政策税制:期限を設定するとともに対象の重点化などの見直しを行う、③利用実態が特定の企業に集中している政策税制や適用者数が極端に少ない政策税制:廃止を含めた抜本的な見直しを行う、といった基準に沿ってゼロベースでの見直しを行うとしている。

この他、*欠損金の繰越控除制度:控除上限額を引き下げる、*減価償却制度:定率法を廃止し、定額法に一本化する、*中小法人課税:軽減税率を見直し、中小法人の範囲についても資本金水準の引下げなどを検討する、*外形標準課税:対象を資本金1億円以下の法人にも拡大する、などの考えが示された。

なお、帝国データバンクが行った「法人税減税に対する企業の意識調査」によると、代替財源として議論の俎上にあがっている「外形標準課税の拡大」については反対が41.0%(賛成25.7%、分からない33.3%)と最も多くなったが、「租税特別措置の見直し」は賛成40.8%、「税制優遇措置の段階的縮小」は賛成43.3%と、賛成が最多となった。

また、法人実効税率が20%台まで引き下げられた場合、減税分の使い道として最も可能性の高い項目については、「内部留保」が20.5%で最多。他方、「社員に還元」(17.3%)、「人員の増強」(14.0%)となり、人的投資が合わせて31.2%。「設備投資の増強」(14.9%)、「研究開発投資の拡大」(5.1%)を合わせて20.0%が資本投資に使用すると考えており、人的投資と資本投資を合計すると半数超(51.3%)の企業が前向きな投資を想定している。