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与党税協が消費税の軽減税率の素案を公表

自民・公明の与党税制協議会は、消費税率10%時に導入するとされている軽減税率制度の素案を公表した。軽減税率は、食料品などの生活必需品の消費税率を低くする制度だが、対象分野について、まずは飲食料品分野を想定して検討している。

その中で、各国で行われている線引き例を当てはめて、「すべての飲食料品」「酒・外食を除く飲食料品」「加工食品全般を除く場合」「精米に限定」など8種類のパターンを提示し、課題・論点について整理している。

それぞれのケースにおける税収への影響については、軽減対象範囲が広ければ広いほど減収額が大きくなるため、「すべての飲食料品」の場合で1%当たり6,600億円の減収が推計される一方、「精米に限定」の場合では200億円となっている。

また、軽減税率の導入した場合、事業者の経理事務において適正な税額計算のために標準税率と軽減税率との区分が必要になるが、事業者の事務負担や適正な請求書等が発行されることの担保、免税事業者への影響といった課題・論点について、(A)区分経理に対応した請求書等保存方式、(B)A案に売り手の請求書交付義務等を追加した方式、(C)事業者番号及び請求書番号を付さない税額別記請求書方式、(D)EU型インボイス方式、の4案に整理している。C案や、EUをはじめ多くの国で採用されているD案は、課税事業者が発行する税額別記請求書やインボイスに記載された税額が仕入税額控除の対象となる方式のため、A案やB案に比べて納税の正確性が高くなると考えられるが、免税事業者は税額別記請求書やインボイスを発行できないため、取引を避けられる可能性がある。

また、いずれの場合も事業者にとって大きな事務負担となる可能性が高く、特に中小・零細企業への悪影響が懸念される。年末にまとめる与党税制改正大綱に向け、軽減税率の導入時期や対象品目をはじめ多くの課題が山積みとなっているが、今後の議論に注目したい。