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簡易課税制度のみなし仕入率の見直し


平成26年4月に消費税率が8%、平成27年10月に10%と引き上げが予定されているが、
本来国に納めるべき消費税が事業者の手元に残るいわゆる“益税”問題を解消するため、
平成26年度税制改正では、簡易課税制度のみなし仕入率の見直しが盛り込まれた。

 

今回の改正案では、会計検査院から実際の課税仕入率との乖離が大きい業種として
指摘を受けた金融業・保険業と不動産業が見直しの対象となる。

 

金融業・保険業は、これまでみなし仕入率が60%の第4種事業だったが、50%の第5種事業となる。
また、現行は第1種から第5種までとなっている事業区分について、
新たにみなし仕入率が40%となる第6種事業を設け、不動産業(現行、第5種)を第6種に指定する。
この改正は、平成27年4月1日以後に開始する課税期間について適用されることになる。

 

消費税は原則、売上に伴い預った消費税から実際に仕入などで
支払った消費税を差し引いた残額を納税することになるが、
簡易課税制度は、仕入率を計算するのが困難な中小企業の事務負担に
配慮して設けられた制度で、実際の課税仕入れ等の税額を計算することなく、
課税売上高から一定の割合(みなし仕入率)によって、
簡単に仕入控除税額の計算を行うことができる。

 

そのため、実際の納付税額との乖離によって生じる益税が問題視されており、
会計検査院の報告書によると、検査対象とした法人・個人事業者の約8割が
簡易課税制度を利用したことで益税が生じていることが明らかになり、
「現行制度のまま消費税率が引き上げられれば、益税は増大していく」との懸念を示していた。

 

また、みなし仕入率が全ての事業区分において課税仕入率の平均を上回っており、
そのなかでも第5種(運輸・通信業、サービス業及び不動産業)の課税仕入率の平均は32.4%で、
みなし仕入率50%と大きくかけ離れた状況が指摘されていたことなどから、
今回の見直しが行われることになった。