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平成24事務年度における相続税の調査事績と事例

 


国税庁が発表した平成24事務年度における相続税の調査事績によると、1万2,210件を実地調査し、
うち8割強に当たる9,959件から3,347億円の申告漏れ課税価格を把握、
610億円(加算税を含む)を追徴した。実地調査1件当たりでは、申告漏れ2,741万円、追徴税額500万円。
なお、相続税調査では近年、海外資産関連事案や無申告事案に力を入れており、以下のような事例があった。

 


●国外預金等を申告から除外していた事例

 

被相続人Aが、生前に国外金融機関から多額の利子を受け取っていたことを把握したが、
相続財産にその利子に見合う国外預金が含まれていなかったため、調査を行った結果、
Aは生前に国内財産を海外の金融機関に移し、非居住者の相続人B(息子)を通じて、
国外預金として運用するほか、Bが主宰する海外の投資会社で運用していた事実が判明。
Bは申告に当たり、これらを相続財産から除外し、隠ぺいしていた。
また、Aから贈与された国外不動産も申告していなかった。

 


●国外法人株式等を隠ぺいし、無申告であった事例

 

被相続人Cが、生前に海外から多額の送金を受けていたことを把握したが、
その申告がなかったため、相続人D(妻)らに調査を行った結果、海外からの送金は
国外不動産の譲渡代金等であり(譲渡所得につき無申告)、DがCの死亡直前にその金銭を引き出し、
自己名義の口座に移し替えた上で、相続財産から除外していた。
また、Cが海外で主宰していた法人の株式等も除外するなど、
基礎控除額以下になるように隠ぺいしていた。

 


●多額の預金を隠ぺいし、無申告であった事例

 

被相続人Eは、多額の蓄財が想定されたため、調査を行った結果、相続人F(妻)はEの入院を契機に、
将来発生する相続税の課税を逃れるため、E名義の預金口座から多額の現金を出金し、
F名義の貸金庫及び自宅に隠匿していたほか、出金事実を隠ぺいするため、
E名義口座を解約し、同口座の通帳を破棄していた。