法人と個人どちらが良い⑪
前回のコラムでは保険料の面だけを比較しました。
所得税・住民税を計算するうえで、国民健康保険・国民年金・社会保険料は控除の対象となり、所得税・住民税を減少させます。
それでは前回以前のコラムの数字の設定のままでお話を進めましょう。
・個人事業で300万円の利益が出た場合
300万円-37万円(国民健康保険・国民年金)-基礎控除38万円 = 225万円
225万円をベースに所得税・住民税を計算します。この場合、所得税は約13万円となり、住民税は約22万円となります。
個人事業主で、300万円の利益が出ると
300万円-37万円(国民健康保険・国民年金)-13万円(所得税)-22万円(住民税)
= 228万円
となり、税金等の負担額は72万円となり、年間228万円手元に残ることになります。
・法人化して300万円にお役員報酬にした場合
300万円-108万円(給与所得控除)-39万円(健康保険・厚生年金)
-基礎控除38万円 = 115万円
115万円をベースに所得税・住民税を計算します。この場合、所得税は約6万円となり、住民税は約11万円となります。
法人化して300万円の役員報酬の設定の場合、まず個人のみで考えると
300万円-39万円(健康保険・厚生年金)-6万円(所得税)-11万円(住民税)
= 244万円
となり、法人化して会社ではありますが、個人のみで考えた場合、
税金等の負担額は56万円となり、年間244万円手元に残るように見受けられます。
見受けられますと書いた通り、法人化した場合には、この手元に残ったように思われる金額から、健康保険・厚生年金の会社負担分の金額と、赤字でも法人として支払わなくてはならない法人市民税道府県民税がります(以前のコラム参照)。
244万円(個人で計算した場合の手元残金)-39万円(健康保険・厚生年金の会社負担)-7万円(赤字で支払う法人税地方税) = 198万円 ということになります。
●個人事業で300万円の利益が出ていた場合の法人化との手元残金比較
個人事業 228万円 > 法人化 198万円
という比較計算になります。
今回のコラムでは、この数字までを明示しておしまいです(笑)。