法人と個人どちらが良い⑩
前回のコラムでは税金の面だけを比較しました。
個人事業主で年間300万の利益が出た場合、法人化した方がおおむね12万円ほど税金が少なくて済むという試算ができました。
しかし以前のコラムで書いた通り、法人化すると社会保険(健康保険・厚生年金)への加入が義務となります。個人事業のままであれば自己負担のみの国民健康保険・国民年金となりますが、法人化すると、いち従業員でない限り、会社負担と言われる部分も実質、会社社長負担となります。
さて、税金だけでなく保険の方も比較してみましょう。
※国民健康保険の計算方法は市区町村によって異なりますので、このコラムを見て法人化の検討をされる方は、ご自分の住む市区町村の国民健康保険の計算方法で計算してください。
・東京都板橋区在住の個人事業(35歳:介護保険未加入)の場合
【国民健康保険】
基礎賦課額(医療分)
均等割額 + 所得割額
1人(年間)30,600円×加入者数 加入者全員の基礎所得金額×6.02%
という計算方法なので、今までのコラムでは、比較計算方法がややこしくならないように扶養者0、税金を計算する際の控除等々0でお話を進めてきましたので、今回も同様に計算すると
30,600円×1人 + 267万(300万-基礎控除33万)×6.02%
= 約19万
【国民健康保険】
15,040円×12ヶ月 = 約18万円(前納割引考慮せず)
【年間合計】 約37万円
・上記の方が法人化した場合
300万円の利益を役員報酬とするため月額役員報酬を25万円とします。
25万円の場合の健康保険・厚生年金の個人負担はそれぞれ
健康保険料 11,964円 厚生年金保険料 20,544円
となります。
個人負担は月額 32,508円となるので、年間約39万円の負担となります。
この時点で、個人事業主時代の社会保険料を超えることになりますが、法人化した場合、この個人負担だけでなく、ほぼ同額の会社負担がありますので、法人化した場合の社会保険料の年間負担額は 約78万円 となります。
個人事業 37万円 < 法人化 78万円
となります・・・・。
社会保険料は、税金を計算する場合控除ができ、税金が減りますので、この社会保険料の金額を考慮して、次回のコラムではさらに突っ込んだお話をさせていただきます。